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晩婚化

晩婚化(ばんこんか)とは、世間一般の平均初婚年齢が以前と比べて高くなる傾向を指す言葉である。

高年齢で結婚をすること、俗に「婚期を過ぎてから結婚する」ことを指して晩婚と言うが、その「婚期」についての社会通念も変化してきた。また、これによって少子化という問題も起きている。

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世界的な傾向

晩婚化は先進国だけでなく途上国でも確認されており、世界的な現象となっている。国連が世界192カ国を対象に、1970年代と1990年代で結婚等がどのように変化したかを調査した報告書によれば

  • 「1970年代と90年代を比べると、世界の平均初婚年齢は2年近く遅くなり」
  • 「晩婚化は7割以上の国でみられ、平均初婚年齢は男性が25.4歳から27.2歳に、女性は21.5歳から23.2歳に上昇した。上昇幅は先進国の方が大きいが、途上国でもアルジェリア、スーダン、マレーシアのように3歳以上上昇した国があった」

となっている。

第二次世界大戦以前の社会においては、10代で結婚して所帯を形成することはごく自然な行為であり、全体にも平均初婚年齢は20歳前後に留まる時代が長かった。 これは進学率 が低かったこと、及び低年齢から社会に出て手に職を付けることが当たり前でありかつ効率的であったことが理由の一つとして挙げられる。特に女子は長い間、 進学せずに家事に就くことが当然と見なす社会的圧力に晒されていたため、進学や就職をせず親の縁談で伴侶を見つけて嫁ぐことも多かったので、女子の平均初 婚年齢は10代後半で長く推移した。

大戦後、特に先進国において義務教育以上の就学過程(特に大学)への進学率が高くなると、平均初婚年齢は次第に20代へとシフトし始めた。この傾向は、高学歴を必要とする専門知識が求められる職種の増加、学歴重視の雇用者意識、女性の社会参加、看護・福祉の ような女性が中心的な労働力を占める職種の社会的地位の向上、女性の経済的な自立と就業意欲の高まりなどを背景として、年々加速した(ただし女性の経済的 な自立については異論も多い。次項参照)。他に、女性はほとんどの文化では男性と比べ不利益を被っているが、その不利益は結婚するとますます大きくなると 言われていることも、晩婚化の要因の一つとなっている。

アメリカ合衆国の状況

既婚男性の満足度は独身男性より高い一方で、女性の場合はその逆となり、さらに独身女性の方が既婚女性よりも長生きをするという調査結果がある。 『女は結婚すべきではない』の著者のシンシア・S・スミスは、「現代の男性が結婚すると、家を手に入れ、家の世話をしてくれる家政婦と料理人、陽気な家族 を得て、それにもう一人分の収入がプラスされる。だが女性が結婚すると増えるのは下宿人」であると、同性愛者の立場からアメリカの結婚事情が女性に厳しい ことを指摘している。

日本国内での意識

結婚時期

日本では現在、民法上、結婚できる年齢は、男子18歳・女子16歳と定められている。しかし、日本国内では高校へ進学する人の割合が1学年あたり90%台に達してから既に長く、結婚して所帯を作ろうと考える年齢は、男女ともに18歳を下回ることはほとんど無い。

個人主義の浸透

一方、個人主義の観点から、当人にとっても周囲についても、独身でいつづけることに対する社会的な抵抗(俗には「世間体」と呼ばれる)が昔に比べて格段に低くなっている。このため、以前は長く独身時代に留まろうとする者を「独身貴族」と揶揄することがあったが、就労して獲得した時間的・金銭的な余裕をもっと自分個人のために使い充足感を得ようと、より長く独身時代に留まろうとする者も多い。

高学歴化 に伴う就労年齢の高年齢化・職場での競争の激化により、晩婚化の傾向には拍車がかかっている。昨今では、男女とも30代になっても独身を続けようと考える ことに対する抵抗感は、彼らが前線に出て働いているオフィス街(特に大都市圏)などでは特に、ほとんど見られなくなっている。

需給のミスマッチ

また、男女とも、お互いを結婚相手としてみなせない、という意識もある。現在の日本では女性が経済力を付ける一方、子育てのサポートが十分ではないために、女性の多くには子どもを産むと仕事を辞めざるを得ず、男性の収入を当てにする上方婚志向(収入・年齢・階層の高い者との結婚を希望する)が根強い。実際に、男性の所得が高くなるほど結婚した男性の割合が高くなり、20、30代の正規雇用で働く男性が結婚した割合は非正規社員の男性の約2倍だったとの調査結果もある。

女性は男性ほど正規と非正規で顕著な差は認められなかったので、女性は男性に経済的に依存する傾向があることがうかがえる。男性からすれば「給料は 頭打ちなのに、女性は金がかかる。子ができればなおさら。」女性からは「今の日本の社会で女性が自立して生きるのは不安。(子どもを産むために)早く結婚 したいが、(経済的に依存できる)いい男性がいない。」という、意識のミスマッチも、原因だと考えられている。しかし、就職や収入面においては、男女間の 格差は是正されつつあるにもかかわらず、未だに女性は結婚後の生活を男性に頼る歪んだ状況を指摘する意見もある[7]。

また、女性が男性に収入などにかなりの高条件を求め高望みをし、自分が高望みをしていることには気がつかずに「条件を満たす良い男性が居ない」などと言って結婚できない状況を男性のせいにする場合も見受けられ、 未婚男性側の結婚相手に求める基準も高くなっている側面もある。一方、男性は自身の年齢が高くても、女性に若さを求める傾向が強い。しかし、若い世代の日 本人では男性の人口の方が多く、若い女性の人口自体が減っているにもかかわらず結婚相手に「若さ」を求め続ければ男性の未婚者は増大する。

さらに、社会人となった男女がグローバルな競争に晒され、不安定な身分や収入のもとにあるため、相手には以前にも増して「男らしさ(経済力や包容力)」「女らしさ(やさしさや癒し)」といった言葉に象徴される「安心」「安定」を求めるという矛盾が需給のミスマッチをさらに促進しているといえる。

女性の家事・育児負担

日本では労働時間が長く、男女の役割分担意 識が強いため、出産・育児に対する女性の負担が非常に大きいとされる。共働き世帯の夫が費やす家事労働時間は一日平均20分で、専業主婦の夫の27分より も少ない。この結果は「女性が働くことには反対しないが、家事と育児は妻の責任」という男性の価値観と、フルタイムで働くとすれば育児に参加することが困 難になるという、日本企業の現状が表れており、働く既婚女性の出生率は低く、女性がキャリアと出産・育児のすべてを望むとすれば自殺行為に等しい現実があ る。

平均初婚年齢

21世紀初頭においては、日本国民の女性の平均初婚年齢は20歳代後半に達しており、男性についてはさらに1歳以上高い。2008年(平成20年)での夫の平均初婚年齢が30.2歳であり、妻の平均初婚年齢が28.5歳である。

第一子出生時の母親の平均年齢については、平均初婚年齢の約1年後という計算になる統計が出ており、2008年(平成20年)での第1子出生時の母の平均年齢は29.5歳である[10]。

ただし日本人においては、生涯に渡って独身を続けることを希望する割合は、欧米に比べて低いことにも留意する必要がある。よって、日本の場合、若者 が早い時期に結婚できる社会的環境を整えることで、晩婚化は防ぐことが可能と考えられている。ただし、日本では、男性が独身を希望している場合には「実は 結婚を希望しているが出来ない」とカテゴライズされることが多い(こうした見方は男性差別で あるとの指摘もある)ため、独身を希望する者の割合が欧米より低く算出されやすいことにも留意すべきである(もっとも、女性が結婚を希望しながら独身でい る場合には「結婚を希望しない自立した女性」とカテゴライズされやすいため、性別を区別しなければ両者の割合は相殺しあっているとの見方もある)。また、 2005年の調査で2000年に「結婚しない」と回答した30歳世代が、5年後にそれほど減っていなかったという結果があり、未婚化・非婚化は確実に進行していることが伺える。

晩婚化の影響

一般に、男女の共同生活は結婚すなわち法的婚姻を伴わなくとも可能である。そして、このような共同関係は、婚姻がその安定性を重視するが故に破棄の 事由に一定程度制約を加えることと比較して、相互の自由意志を前提として互いに不断の努力により関係を維持することが必須であるため、自立的個人の自由意 志を尊重する社会的結合としては一層望ましいともいえる。

そこで、このような共同生活を超え、あえて結婚すなわち婚姻にいたる事情として、自立的でない存在すなわち子の出産を動機に挙げる事例が多い。

このように子を産むための結婚という見地から見たとき、高い年齢での結婚は、金銭的余裕などのメリットがある一方で、妊娠しにくく・させにくくなるリスクがあるとされる。

女性については、個人差はあるものの、一般に、三十代中盤以降の出産については、母体および子の双方に顕著なリスクが生じるとされる。また、従来あまり議論されなかった男性についても、中高年男性の精子は、若い男性の精子に比較してDNAの損傷が激しく、子供を持つ可能性が低下する可能性も近年指摘する論者もおり、被験者2,100人を対象とした研究では、45歳を超える男性の精子DNAの損傷は、それ以下の年齢グループに比較して有意に高く、30歳未満の男性との比較では2倍であったとの報告例がある)、育児に関して子どもの年齢に比べ親である夫婦の退職年齢が早く来てしまうことなどの構造的な困難などのデメリットが考えられる。

また、長く独身でいる人に多く見られるように、結婚してからも自分個人または伴侶との共同生活を重視して子供を作らない夫婦も多く存在し、1980年代頃から社会的な潮流として注目を集め DINKS (Double Income No Kids) という呼び方が使われた時期があった。

対策

対策の検討のためには、正確な原因分析の上で具体的に実行可能な原因除去ないし緩和をはかる必要があるが、晩婚化の原因にも諸要因が複雑に関連しているため、その検討は、相当な困難を伴う。ここでは、一個人でも実行可能な処方という見地から述べる。

比較的高収入あるいは資産形成済みの個人の晩婚化の原因には、離婚時における@財産分与、年金分割等のリスクA子の養育費のリスクなどの存在が考え られる。 元来、これら制度は、法定夫婦財産制のもと、離婚後においても夫婦のうち資力に乏しい者および子を保護することを目的としている。もっとも、このような制 度が一方で近時の離婚率の高まりから、結婚時におけるリスク要因として機能しており、高収入の個人が結婚を回避する重要な要素となっている。

まず、@についての対策としては、結婚前に夫婦財産契約を締結し、これら権利の一切を夫婦相互に有しない旨合意し、登記することが有効である。このような夫婦財産契約を締結した場合には、離婚の際のリスクをかなりの程度軽減することが可能である。

次に、Aについての対策としても夫婦財産契約を活用することが考えられる。もっとも、養育費請求権については、夫婦財産契約で直接に放棄できない。 なぜなら、これは、あくまで子どもの権利だからである。 そこで、夫婦財産契約の中に、将来の離婚時の養育費負担についての分担割合を手元に扶養する期間により分担するなど、公平な定めをすることが考えられる。 この場合、あくまで子どもから一方の親に対する請求は妨げ得ないものの、離婚後の夫婦間相互において、求償権を事前に確定しておくことが可能となる。この ように手立てしておけば、たとえば一方に親権者が定まり、特に他方とは同居したりすることがない場合には、親権者の負担割合が100パーセントとなること になる。

次に、結婚しない人、できない人が増加しているなか、さまざまな対策を考える政府や自治体もある。

日本の場合、一部の自治体(奈良県など)では、自治体自身が音頭を取って(正確には結婚相談所を生業とする企業に委託してだが)男女の出会いの場を設けるといったことを行っている。また、地方の商工会議所でも、会員に呼びかけて出会いのイベントを行っているところがある。このようなイベントは参加できる人がある程度限られるものの、営利を目的とせず、参加しやすいように工夫されている。

海外でも同様の対策が取られているところもある。

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